◇競泳日本選手権
▽ロンドン五輪代表選考会を兼ねる▽7日▽女子200メートル平泳ぎなど決勝4種目
▽東京辰巳国際水泳場
女子200メートル平泳ぎは、東京・武蔵野高1年の渡部香生子(15)=JSS立石=が
2分23秒56で2位に入り、今大会最年少での五輪代表入りを決めた。
100メートルですでに代表入りしている鈴木聡美(21)=山梨学院大=が優勝して2冠を達成。
男子200メートル背泳ぎでも100メートルで代表に決まっている
入江陵介(22)=イトマン東進=が1分54秒03で2冠。
2位の渡辺一樹(25)=セントラルスポーツ=は初五輪。
男子200メートル個人メドレーは、400メートルで代表に決まった
萩野公介(17)=御幸ケ原SS=が1分58秒01の高校新で2冠。
2位の高桑健(27)=自衛隊=も2大会連続の五輪を決めた。
15歳の瞳に涙が光った。
「何が何でも代表に入りたかった。本当に五輪に行けると思ってなかったので、すごいうれしいです」。
プレッシャーをはねのけてつかんだ分、渡部の喜びは格別だった。
100メートルまでは4番手。だが焦らず、特徴である滑らかで大きな泳ぎを維持。
ラスト50メートルでグイグイと追い上げ、鈴木に次いで2位に食い込んだ。
大舞台で自己ベストを0秒34更新。大物ぶりは健在だった。
中学3年だった昨年5月のジャパンオープン200メートルで、昨年世界ランク3位にあたる
2分23秒90をたたき出してブレーク。
整った顔立ちも手伝い、バルセロナ五輪女子200メートル金メダリスト岩崎恭子さんの
“再来”として注目を集めたが、14歳には重圧だった。
自己ベストはそれ以来伸びなかった。
3月上旬にロンドンであった五輪プレ大会では2分28秒42と絶不調。
パワー重視のフォーム改造が裏目に出た。 今大会では以前の泳ぎに戻したが、
3日午前の100メートル予選は麻績隆二コーチ(49)の前で話せなくなるほど緊張し、
結果は15位。「200メートル中心の練習をしてきたのだから、準決勝は棄権してもいいんだぞ」。
同コーチの言葉で吹っ切れた渡部は、その日の夜に本来の泳ぎを取り戻した。
“復活”して臨んだ得意の200メートル。
力を出し切れば、代表切符は難しいことではなかった。
競泳のロンドン五輪代表では最年少。
「チームの足を引っ張らないように…。
難しいと思うけど、五輪では表彰台を目指して頑張りたい」。
この日の表彰式で岩崎さんからメダルをかけられ、
“バトンタッチ”も完了。
岩崎さんが金メダルを獲得した92年7月27日からちょうど20年がたった日に開幕する
ロンドン五輪で、15歳が平成のマーメイド伝説を作り上げる。